栃木県那須塩原市中央町 11:26





 

 
 
那珂川の川沿いに造られた公園には市民プールがあって、家族連れが水しぶきを上げている。歓声が夏空に吸い込まれていく。
 
夏だなあ。
 
栃木県も那須まで来れば、少しは涼しい、ような気がするだけであってやはり暑い。
 
 
 
三歳男の子の家族写真を撮る。ママのお腹には二人目の子どもがいて、撮影のためにガーランドなどを作ってきていた。
 
親子で手をつないだり、お腹に子どもがキスをしたりと、事前に希望のカットをご連絡いただいていたが、男の子が笑ってくれたので万事オッケー。
  
よく、どの時間がキレイに撮れるかとか、いい撮影ポイントはどこなのかとか、写真の出来栄えを気にされる人は多いのだけど、実際は子どもが笑うかどうかが最大のポイントで、我が子が笑っていない写真はまったく評価されないのです。
 
子どもが増えると賑やかさが増す。赤ちゃんが元気に生まれますように。
 
 
 
撮影した公園から駅に戻る道中でまた汗をかくから、Tシャツは駅で着替える。
 
もう少しで黒磯駅というところで、通りに面して趣のあるコンクリートの建物が目に入る。洋服店なのだろうか、店頭には古い遊園地にあるようなストライブ模様のワゴンに布地を並べて売っている。
 
「す み れ」とだけ掲げられた看板の字が可憐な感じがしてよい。まるで中原淳一のイラストのようなフォントである。
 
お盆の昼前の通りには歩く人影もない。昭和時代からタイムスリップしてきたようなお店の前で、僕はしばらく佇んでいた。