武豊線緒川駅 10:18
自分が撮影した写真は意外に覚えているもので(もちろん覚えていないこともあるのだが)、写真を見れば撮影したときのことを思い出す。
鮮やかな桔梗紫の着物を着た女の子を初めて撮ったのは一歳のときである。
夕暮れどきの多摩川の河川敷の草っ原でおぼつかない足取りで歩く姿を撮った。
その前に家のリビングで二人のお兄ちゃんと一緒に椅子に座らせて兄妹写真を撮ったっけ。なかなかに苦戦したような気がする。
その兄たちも今や12歳と10歳だから、もう僕がどれだけふざけて白けた表情で見返してくる。
そんな兄たちに感化されたのかどうか、彼女はいたって大人しく笑ってくれない。
思春期になったらもっとクールになるのかどうか。案外陽気な性格に変わりそうな気もするな。
中学高校の入学を除けば、子どもの成長を祝う行事はこれでおしまい。
次は成人式だねといえば、ママは「ですよね〜」と頷くが、彼女はピンとこない表情である。もう七歳だけどまだ七歳。
これからも彼女がすくすくと元気に大きくなりますように。
また二十歳のときに、僕を思い出してく撮影を予約してくれますように。