おのみちバス因島線土生港前 16:38
「風がなくてよかったですよ」
因島の海辺の高台に建つ小さなホテルの支配人兼キャプテンが新郎と話している。
はるか昔は村上水軍の根城があったらしい。ホテルの前からは穏やかな海を行き交う通船がよく見える。
2年越しの結婚式は家族だけで和やかに結んだ。
新郎は酒好きなのにあまり強くないようで、シャンパンビール日本酒ワインと飲んだら、お開きの頃にはすっかり出来上がっていたが、それもよかった。
撮影終わって、尾道に帰るバスの時刻まで、土生(はぶ)港周りの街中を歩く。
造船所が休みの日曜日は商店飲食店がほとんど閉まっている。
人気のない路地を歩くと、時間が止まった世界に一人生きているような気持ちになる。「青旅」で撮ってみたいような風景ばかりだった。
今日いちばんヒットした理髪店。絶妙なカーブをつけた軒。壁の色。この窓から差し込む西日を見てみたいものである。
