三原由宇出張写真室

2018年3月31日土曜日

静岡県浜松市中区鍛冶町 19:45




 

晩ごはんを買ってホテルに戻る。ガラス張りのカフェで仕事を終えた雰囲気の女性が一人、ビールのジョッキを片手に夕食を食べている姿が見えてエドワード・ホッパーの絵を思い出す。

食事を終えたら家に帰るのだろうか。家に待つ人はいるんだろうか。日曜日は何をして過ごすんだろうか。

見知らぬ彼女に30秒ほど思いを馳せる。
 

静岡県焼津市栄町 17:44

 
 
 
 

桜咲く土手では中学生の女の子が4、5人、自転車を止めて桜をバックにスマホでセルフィーを撮っている。きゃあきゃあ言い合って楽しそうだ。
 
四歳の女の子を持つママはそれを見ながら、「あのくらい(の歳)になったら、もう親とは遊ばないですかね」と言う。
 
おそらくそうでしょう。さっき来るとき、公園で小学校高学年くらいの男の子たちが野球して遊んでいるのを見かけました。今はママにべったりでも、いずれは親より友達と遊ぶほうが楽しいと思うようになるのでしょう。
   
  
今日はパパが不在で、ママが絶賛ワンオペしている中での撮影であった。「8時に寝てくれたら助かるんですけどねー。9時に寝てくれたら万々歳」というから、寝かしつけには苦労されているらしい。
  
「子どもを育てる期間」というのは、毎日あたふたしながら気がついたら終わっているものなのだろうか。その日々に意味があるのかないのかどうなのか。子どものいない僕にはわからない。確かなのは、子どもが目に見えない速度で日々大きくなっているという事実だけである。









藤枝市自主運行バス駅南循環善左衛門線下青島南 14:53


 

 
 
強い風が吹き抜けて草が揺れる。
小川の両岸は緑の原っぱになっていて、菜の花と背の低い桜が咲いている。子どもの写真を撮るには申し分のないロケーションである。

4月に幼稚園に入園する兄と、ハーフバースデーの弟の記念写真の予定であったが、弟くんは眠かったのかずっとぐずっていてほとんど撮れず。赤ちゃんの体調は予測できない。どうか今夜はぐっすり眠ってほしいと願うばかり。
  
 

撮影場所までは藤枝駅からバスに乗った。地方都市にしては比較的コミュニティバスが発達していて、藤枝市の担当部署はよくがんばっていると 思う。ただし乗客はかなり少ない。往復とも僕のほかには1人しか乗客がいなかった。市のホームページには継続運行のためにできるだけ利用してほしいと書かれているが結果は厳しい。
   
藤枝駅前にあった大型スーパーは撤退し、建物は取り壊されて更地になったまま立入禁止のロープが張られている。バスは駅を中心にして放射状に路線が伸びている。だからバスに乗って駅まで来ても何もできない。駅の周辺はマンションばかり。主要な大型店舗は幹線道路沿いに点在している。
 
地方のバスに乗客が少ないのは、市街地というものがなくなってしまった結果であろう。これは藤枝市に限らず日本全国の地方都市に共通することではあるけれど。
 
 





東海道本線早川〜根府川 9:37




 


春の海を眺めながら静岡へ。
 

2018年3月30日金曜日

新京成電鉄新京成線三咲駅 16:56

  
 

 
桜の盛りに撮影が続く。
予約は2ヶ月前から受付けしているから、桜の開花状況がわからないうちに予約いただくことになる。うまく桜と撮れるかどうかは運しだい。ちなみに昨年の3月30日の東京は開花が始まったばかりで、とても寒い日であった。

ランドセルを背負った女の子と初めて会ったのは三歳の七五三のとき。すっかりお姉さんになって僕がふざけても一緒にふざけてくれない。ボケを完全にスルーされて寂しいけれど、これも成長の証ということか。
 
春休みとあってか、公園はたくさんの家族連れで賑わっている。
楽しそうに遊んでいる家族の近くで、機嫌を損ねたらしい子どもが地面に突っ伏して泣いている。その脇で「泣かないの!」と怒る親。まったく悲喜こもごもである。
  
泣いている子どもに泣くなと言っても泣き止むことはないだろうが、言わずにおれない気持ちもわかる。子どもを遊びに連れ出しても苦労が絶えぬ。世のお父さんお母さん方はほんとにおつかれさまです、と思いながら僕はホテルに帰って洗濯をし、プロ野球開幕戦(カープ対ドラゴンズ)をラジオで聴くのだ。
 
 




 


国際興業朝50系統花の木 12:20



 

 
 
 
やや冷たい風が土手の上を吹き抜けてゆく。
気温が下がったせいか、桜の花はなんとか木にしがみついているようである。
 
もうすぐ小学生になる三人の子どもたちがランドセルを背負って手をつないでいる。3年前の同じ日、彼らが真新しい園服を着て撮った写真を思い出す。卒園入学おめでとう。ちょっとずつ大きくなってゆく子どもたちが羨ましい。こちらは走り回って息が切れるのが年々早くなる。
 
撮影終えて今年も女の子からラブレターをいただいた。文章が長くなっていて成長を感じる。
https://miharayuu-monophoto.blogspot.jp/2017/03/1157.html
 
 
駅に戻るバスは行ってしまったあとで、15分ほど待たなくてはならない。
 
バス停のある歩道に沿って山茶花が咲いていたのでカメラを取り出して、タムロン35mmに付け替える。タムロンのレンズはかなり寄れるので、マクロレンズの代わりになる。

薄い花びらの優美な曲線を眺めていると、女性のうなじを連想する。けだし花は女性である。ファインダーを覗きながら、君、きれいだよ…と心の中で花に話しかけながら撮っているけど僕は変態ではありません。
 
そうやって撮っていると10分くらいはすぐに過ぎて、バスの写真を撮るべく、ふだん付けっぱなしにしているシグマ30mmのレンズに戻す。

 






2018年3月29日木曜日

本日の花撮り




  
 
この三つの花はみな同じくらいの大きさなのに、大量に集まった桜ばかりが注目されるのはどうして。
 

関東鉄道つくバス谷田部シャトル科学万博記念公園 16:35

  
 
 
 
秋葉原から電車で1時間。
つくばまで来ると、公園の混雑ぶりは都内の百分の一くらいになっていて、満開の桜の下では人々がゆったりと思い思いの時間を過ごしている。人が写り込まないアングルを探しあぐねることもない。周りを気にせず思い切り遊べる。
    
今春小学生になる姉は、とてもおしとやかでアクティブな遊びには興味を示さない。それにひきかえ幼稚園児となる妹は大声で叫んでバイキンマンを追い返す。対照的な性格の姉妹は見ていて飽きないし撮っていて楽しい。
 
撮影の合間にパパと話をした。

初めてのお客さんであるせいか、出張費無料というのが不思議なようで「それで大丈夫なんですか」と久しぶりに聞かれた。経済的に余裕があるわけではないけれど、妻+猫7匹となんとか暮らせているからまあいいんじゃないか、というのが僕の答え。
 
出張ばかりの仕事に対してよく「たいへんですね」と言われるけれど、当の本人はしんどいとは感じていない。もしきつくて嫌だったらこの仕事をすぐに止めてほかのことをするだろう。
 
そういえばサラリーマンを辞めたのは、勤めていた会社が嫌だったからで、仕事は嫌いではなかった。残業は毎日だったし、勝手に100日連続出勤して(百貨店なので毎日営業している)、一人悦に入っていた。つまり、そんなことをする社員は根本的に組織に向いていなかったのであった。 
 






東京地下鉄日比谷線広尾駅 11:36

 

 

 
かすかな風にも花びらが雪のように舞い落ちる。
つい数日前に咲き始めたと思ったら、もう終わりが近い。

道行く人たちは立ち止まり、桜を見上げて写真を撮る。誰も見向きもしないが公園の茂みには山吹が咲いていて、僕が写真を撮っていると、ひと組の母子が後ろを通りかかり「あの花はね、やーまーぶーきっていうの」と子どもに教えている。
 
6年前の桜の咲く頃に、飼い主さんと一緒に駆けっこしてもらった犬は16歳になり、キャリーバッグからちょこんと顔を出し、陽射しを浴びてうとうとしている。老化で目が見えなくなっていて歩くこともおぼつかなくなっているけど、彼女の健康を願ってやまない。
 
行春や鳥啼き魚の目は泪
散りゆく桜を見上げていると、ふいに芭蕉の句が思い出された。
 






2018年3月28日水曜日

東京都墨田区錦糸 15:13



  
 
 
 
スカイツリーを望める公園は花見をする人たちで埋まっている。
家族連れが帰り支度を始めるそばで、上着を脱いだサラリーマンが夜の宴会のために場所取りをしている。
今週の東京は春らしい陽気が続いているから桜はすでに散り始めている。週末には葉桜になっているのではなかろうか。
 
3年半ぶりに会った男の子は立派な少年になってランドセルを背負っている。
 
彼に「三歳のときに撮ったの覚えてる?」と聞かれたが、覚えているとも。撮ったカットを思い出すことができる。背の低い紅葉の木の中に入って撮った写真があるはずだ。紅葉の色を映して顔が朱色になっていた。
  
3年経って、彼はその頃の面影から変わったように思う。
まだ無邪気で子どもっぽいところもあるけれど、成長を感じずにはいられない。
  
桜の花越しに彼にレンズを向けながら、小声で好きな女の子がいるかどうか尋ねた。
彼は真面目な顔で、なんのためらいもなく「ママ」とひと言。萌える。