尾道 14:36



 
 
もうすぐ啓蟄。少しずつ春めいてきている。
午後はミチコさんをスポーツジムへ連れて行き、入会手続き。ずっと体が痛いと言っているが、あまりにも体を動かさないからだと思う。
 

夜はシネマ尾道で「この世界の片隅に」がかかったので、数年ぶりに映画を見た。泣くだろうなと覚悟していったのに、まったくこみ上げてくるものがないままエンドロールが流れ始めた。
 
この作品は72年前の昔話ではない。戦後も今も世界のどこかでこの映画と同じことが起きている国がある。ベトナム、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、リビア、シリアなどなど。おそらく「この世界の片隅に」に作品の主人公と同じような人がたくさんいることだろう。
   
一番胸にきたのは、敗戦の玉音放送を聞いた主人公が「最後の一人まで戦えと言っていたのに!」と怒りをあらわにする場面であった。「最後のお一人にいたるまできちんと年金をお支払いしていく」と演説していた某政治家が重なる。為政者たちの言葉の空疎さとそれに翻弄される庶民の対比。