千葉海浜交通高浜線高浜南団地 16:07
新幹線「のぞみ」は薄緑に彩られた野山を東に向かって駆け抜ける。
桜が散って終わったと思ったら、すぐに新緑の季節だ。鮮やかな萌黄が美しい。
PCで仕事しながら、ときどき顔を上げて窓外を眺める。浜松あたりでは早くも田植えが始まっていて驚く。
新幹線は速いが季節の移ろいも相当速い。
4年前に入学記念のランドセル写真を撮った男の子は、すっかり「少年」といった風貌になって、控えめな笑みとともに現れた。
まだ遊びたい盛りだろうけど、撮影が終わったら塾に行ってテストを受けるという。
真面目に塾通いしている彼は、まだ10歳だというのになんだか大人びて見える。僕のほうがふざけたりして子どもみたいだ。
もっと羽目を外してもいいんだぞ、とサラリーマンが勤まらなかったフリーランスのフォトグラファーは思うが、彼はきっと堅実な人生を歩むのだろう。
そういえば、本を読むかと聞いたら「読む」と答えたので、どんな本か問うたら「蜘蛛の糸」と返ってきたのにはびっくりした。僕が小学生6年生のときにハマっていた本は江戸川乱歩の「怪人二十面相」シリーズだったよ……。