東海道本線熱海駅 19:08
なぜ人は歳を取るほどに余裕がなくなるのだろうか。
列に並んで待つときに、やたら間を詰めて前へ行こうとするのはたいてい老人である。
順番なのだから列に並んでさえいればよいのだが、残された人生の時間に比例して、少しでも早く手に入れたくなるのかもしれぬ。
熱海駅で上りの電車を待っていたら、ぴたりと体を寄せるようにして50過ぎと思われる男が僕の隣に立つ。
並び列にいるのは僕一人であった。
2列で待つようにホームの地面には線が引かれているから、彼に文句を言う筋合いはない。しかし、そんなにくっついて立たなくてもいいじゃないか。僕が若い女性だったら逃げ出すところである。
はたして電車が到着すると、彼は開くドアに体をねじ込むようにして僕より先に乗り込む。
そんなことしなくても熱海だから車内は空席だらけで確実に座れるのであるが、彼の中にある何が彼をそうさせるのか彼に問うてみたい。
まだ若いんだからそんなに生き急がなくてもいいのに。
いろんな人がいるものです。
18きっぷが使える季節になり、久しぶりに尾道から東京まで14時間の電車の旅。
今冬から18きっぷには5日間縛りと3日間縛りができ、気が向いた一日に電車に乗るということができなくなってしまった。
5日間連続して電車に乗ろうなんていう酔狂な人はあまりいない。
おかげで今まで混雑していた電車がことごとく空いている。
大垣駅も豊橋駅も乗り換えで走らなくても余裕で座れるのはありがたい。
子どもの頃に読んだ『大草原の小さな家』に出ていたフレーズだったろうか、大きな損をするときは小さな得もする、というのはこういうことだろうか。違うかな。
静岡県沼津市大手町 18:32 よろめきそうになるほど強い風が吹いて寒い。スーパーの出入口近くにレジがあって中に風が吹き込んでくる。ここめっちゃ寒いねとレジのバイトの子に言うと「そうなんですよ〜」と苦笑していた。