小田急バス調布・新小金井線鷹56神代植物公園前 17:32
木立の向こうから初冬の夕陽が細く長く伸びてくる。
その光に触れるようにして家族は遊ぶ。八歳になる女の子は無邪気に笑っている。
パパとママのエンゲージメントフォトを初めて撮ってから、10年になるようだ。
お二人ともそのときからちっとも変わらない。
芝生に座った三人は一本の焼き芋を取り出すと、女の子がそれを三つにわけて食べ始める。
それはまったく太陽が東から昇って西に沈むような自然な光景だった。
なんで撮影に焼き芋?
そう思ったのはパパとママの初めてのエンゲージメントフォトのときで、二人は芝生に座って焼き芋を頬張り、その姿を僕は撮った。
当時(今もだけど)撮影のときに焼き芋を食べるカップルを見たことがなかった。
そのときも、当たり前の自然さだったのを思い出す。
家族の中に流れる空気は家族それぞれに色や味がある。
それを作ってゆくのは、人の何なのだろう。
三人は十年後もこうして一本の焼き芋を分け合って食べるだろうか。できるならその光景をまた撮ってみたい。
ひとしきり遊んで日が落ちて撮影終わり。
見上げれば薄紫色のサテン生地のように冴えた夕空が広がる。
京王電鉄京王線調布駅 18:05 惣菜を買って帰ろうか迷うも、豚小間肉を買った。ホテルの部屋にミニキッチンがついていて、IH調理器でしめじとナスと一緒に炒める。塩とオリーブ油はいいのを買った。自炊のほうがおいしい、というよりスーパーの惣菜に飽きているともいえる。
はじめにミックスナッツを齧りながらウィスキーのお湯割りを4杯。そのあと豚肉の炒め物作って、フライパンに残った脂にニンニクとオリーブ油を足してスパゲッティペペロンチーノ。一台のIH調理器でちまちま料理してると、まさに飯事(ままごと)という感じがして楽しい。
かつてEテレで「ひとりでできるもん!」という番組があったが、同じように子どもが一人で料理する様子を撮影したら面白いだろうな。親はあれこれ口出ししたくなるだろうけど、そこはぐっと我慢してもらって。