尾道 15:48
遠くの空に白い入道雲が浮かんでいて、まだ夏は終わっていないのだと教えてくれる。
尾道の浄土寺の境内には百日紅の花が咲いている。由緒ある寺も今は訪れる人がほとんどいない。
新郎新婦は千葉県と愛知県の生まれ。
尾道とはなんの縁もなかったのに、結婚して仕事のために住んで「もしかしたらここに定住するかも」と言うから、人生とは不思議な巡り合わせなのだなと思う。
式を挙げる予定がないそうで、この撮影が結婚の証明のようなもの。
新郎からは写真を撮られるのが苦手だと真っ先に言われた。
うん、でもまあそれは大丈夫です。こちらは写真を撮るのが得意なので。
それよりも、お二人ともおそろしく頭の回転が早いというか反射神経がいいというか。
僕が出すポーズの指示を一度聞いたら、その勘所をすぐに飲み込んで次のカットで再現してくる。
これはできそうでなかなかできないことなので、感心してしまった。
もっとも、もっと顔と顔を近づけてーというリクエストは難しかったらしい。
それはお二人らしさということでOKです。
お寺の山門からは尾道水道が見える。
川のような海の対岸には向島の造船所。ちまちました家並みと電線と山陽線の線路がその間を横切る。
二人にとってはあまり感慨が湧かないかもしれないけれど、これぞ尾道という風景。
好きになってくれたらいいなあ。