尾道 17:43
かすかな西日射す夕方の渡船には向島へ帰る車が次々に乗り込んでゆく。
遊歩道に沿って続く堤防に座って海を見ていたカップルは立ち上がって帰り支度をする。
のんびりな風景。今日は海で飲めばよかったなあと思い出す。これからプールで少し泳いでスーパーで買物。
スポーツジムの風呂場では、じいさん同士が野球の話をしている。
「昨日の試合見た?」
「見た見た。朝、ビデオでの」
「そりゃいけまあ。やっぱ生で見らにゃ」
「わしゃあ8回でテレビ消したんよ。負けるところは見とうないけえ」
「惜しいことしたのー」
昨夜はカープが中日相手に9回裏で4点差をひっくり返して(今季初の!)サヨナラ勝ち。
「下駄を履くまでわからない」とはよく言ったもので、野球ではたまにそういうことがある。
それはわかっているのだけど……じつは昨夜の僕も8回裏の満塁のチャンスが潰れた時点でラジオを消してしまった。
決勝打の坂倉の3ランを生で聴きたかった!と、ほぞを噛んでももう遅い。
あきらめずに試合を追いかけていればよかったのだ。
夜ごはんは鶏むね肉を焼いてみた。
塊りを30分間弱火で焼いたらひっくり返して10分放置というレシピをネットで見かけて試してみたのだが、中まで火が通っていなかったらイヤだなあと40分近く焼いたら、身が硬くなってしまった。
本来はもっと柔らかく仕上がるらしい。硬くなった肉はもう柔らかくならない。
レシピ通りに30分で火を消していればよかったのだ。
小心というか、ようは肝が据わってないのだろう。
しかし、もうこの齢になって本質的な性格が劇的に変わるとも思えないし、気の弱さを抱えてこれからの人生をやってゆくしかない。
とりあえずもっと自信を持とう。
9回裏にサヨナラホームランが打てる……かもしれない。