遠軽から札幌へ戻るのに



















 
遠軽から札幌へ戻るのに、どうしても石北本線の普通列車に乗りたくなって遠軽駅に向かった。高速バスのほうが早くてしかも安いのだが…
 
石北本線の上川〜白滝間の途中駅は、今春のダイヤ改正ですべて廃駅になってしまった。もっとも遠軽を出てから上川まで、乗客は僕のほかに一人だけだったから、仕方のないことである。上白滝駅は、たった一人の女子高生が通学するために使う駅として話題にもなった。その駅のホームではカメラを構える観光客がいた。

周りの座席に誰もいない列車の旅。
久しぶりに窓を全開にして風を浴びた。めちゃくちゃ気持ちいい。
バイク乗りや自転車乗りが風を感じて走るように、鉄道も風を感じて乗るのがいい。そんなことができるのも今ではごく一部の列車だけなのだ。「窓から何が見えるか」なんてどうでもよい。レールの響きを聞き、揺れに身を任せているだけで幸せである。 

常紋トンネルにさしかかったとき、実習添乗の運転士さんがやってきて「(開いているほかの)窓を閉めますか」と聞いた。ディーゼルの排気が入ってくるからだそうだ。僕は気にしないのでそのままでよいと答えた。