東京地下鉄東西線南砂駅 12:12
家の中での撮影をひと通り終えて、外でも撮ってみましょうかとドアを開けたら牡丹雪が降りしきっていた。
寒い日に外に連れ出された一歳の女の子は観念したようにおとなしい。でも、地面に置いたレフ板の上に立たせようとしたら大泣きした。
宮島の厳島神社でお宮参りを撮影した赤ちゃんが無事に一歳の誕生日を迎えた。
彼女はおうちに上がった僕と目が合うなり激しく泣き出す。
そのあたりは、子どもの性格や性質に左右されるので、あまり気にしない。むしろ人見知りは順調に成長している証拠である。
4月からは保育園に預けるという。この一年間ずっと家で赤ちゃんの面倒を見てきたママはなにもかも初めてのことでたいへんだったことだろう。
子育てはまだ先が長いけれど、一年間ご苦労さまでした。
舞う雪の向こうに家族は立ってカメラを見ている。
写真を撮るのは子どもの笑顔のためではなくて、それまでその人が過ごしてきた時間を肯定するためである。だからシャッターボタンを押すのは僕でなくてもいい。
僕はたまたま僕が選ばれた幸運を噛み締めている。