七尾線七尾駅 15:56

　
　
　
思春期の子どもが旅をする写真を撮った。
　
中学二年生の彼は大人と同じ思考をしながら、無邪気な子どもっぽさを時折見せる。
　
親に見せる表情と、知らない大人であるところの僕に見せる表情は違う。友達同士でいるときの表情もまた違うことだろう。
　
そんな彼は半透明の繭の中にいるかのようだ。
　
　
七尾まで行くと、雪がなかった。
　
富山湾に面して能登半島の東側に位置する七尾では日本海側から来る雪雲が山で遮られるのだろうか。
　
駅から古い家並みが連なる細い通りを歩きながら撮影、さらにバスに乗って低い山を隔てて反対側の海岸に出ると、山肌に張り付くような小さな集落でバスを降りる。
　
砂浜に下りると、彼は海に向かって石を投げる。楽しそうに、ただひたすら投げ続ける。
　
少年はまだ将来の夢を語らない。
　
　
　
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