今日は豊岡の民宿のようなビジネスホテルに帰る。急いで帰る理由がない。
丹鉄の網野駅で途中下車して次の列車を待ち、さらに豊岡の駅前をひと回りする。
市街地は古ぼけた昭和の家並みが残る。駅から離れた国道沿いには全国チェーンのお店が林立しているが、駅前は時代から取り残された小さな店がシャッターやカーテンを閉めてひっそりと佇んでいる。
そんな光景は見れば見るほど切ない。いずれ遠くないうち取り壊されて跡形もなくなるであろう。
趣がありすぎて、僕はかつて洋食屋さんだったらしいタイルと赤い木枠の窓ガラスが残る店の前でしばし立ち止まる。
これが僕にとっての「観光」である。