東京地下鉄半蔵門線住吉駅 12:19
赤ちゃんが生まれてから楽しいだろうなあ、とその夫婦を見て思う。
植物に日に当てて水をやれば大きくなるように、日々成長する赤ちゃんは生命力のカタマリだ。
その変化にパパとママは驚嘆している。
「もうだいぶ人間らしくなっちゃって」名残惜しそうにパパ言う。
いやいやまだぜんぜん赤ちゃんですし、と僕は思ってしまうのだが、彼らは赤ちゃんらしさが日々薄れてゆくのを実感しているのであろう。
今日はハーフバースデーということで、赤ちゃんはまたひとつ人間への階段を上がる。
離乳食を初めて食べさせるので写真に撮ってほしいと言う。
ママは「もうちょっとかな」とつぶやきつつ、おかゆになん度もお湯を少しずつ足してはスプーンでかきまぜる。
だいぶ時間がかかってできたそれを子どもの口元に運んで含ませてみたものの、赤ちゃんは食べずに吐き出す。
初めての味だろうし、そのうち食べるようになるでしょう。
まだまだミルクに頼る日は続きそうだ。
赤ちゃんはまだ寝返りもしないということだったが、バンボにはちゃんと据わってくれてハーフバースデー写真に収まる。
成長ややが遅いのは、本人が一日でも長く赤ちゃんを続けたいからだろう。
ゆっくり大きくなってほしい。
パパとママがそう思っているのだとしたら、赤ちゃんは親の気持ちがわかる孝行息子である。
東京都江東区猿江 11:58 ハーフバースデーの写真を撮る前に初めて離乳食を赤ちゃんに食べさせる。ママも初めてだから加減がわからない。結局赤ちゃんはほとんど食べなかったのだが、そのうち食べるようになるだろうし、そうやって日常は少しずつ変わってゆくのだ。