東武鉄道東上線みずほ台駅 18:42
「青旅」のページを見た彼は、海に行きたいと言ったらしい。
そうかそうだったら行き先を湘南にでもすればよかった。申し訳なかった。
海にはほど遠い荒川の河原が今回の旅の目的地である。
波ではなく流れる川の音を聞きにゆく。
最後に会ったのは六年前、彼が九歳のときだったからやはり見違えてしまった。
体は大きく母親の身長を追い越している。
丸かった顔立ちは面長になっていたが、三人兄妹の長男らしく物静かで落ち着いた雰囲気は変わっていない。
それでもどこかわずかに子どもっぽい部分が見え隠れして、それが今しか見られない彼の姿なのだと思う。
少年以上青年未満。
4月から高校生になる。
中学時代に全国大会まで行ったというバレーボールも続けるらしい。
それなら身長は高ければ高いほどいいはずだ。
体格はよいのにいまいち身長が伸び悩んでいるのは、睡眠時間が少ないからだ。
ゲームなぞで夜更かしするのはやめて、家に帰ってごはん食べたらすぐに寝るんだ。
と、声を大にして彼に言いたい。
もしまた数年後に会うことがあれば、さらに見違える男になっていてほしい。
青年を越える大人の彼を見てみたい。