常磐線天王台駅 19:39
家族は一月に新居に引っ越したものの、家の中はいまだに混沌として片付かない。
たぶんこのままずっと片付かないような気がする。ママは自分で「片付けられない人なんです」と言っていた。
それなら仕方がない。掃除をサボっているわけではないのだ。日々の生活に困るわけでもないし。
子どもたちは部屋が散らかっていてもまるで気にするふうでもない。わずかに空いたスペースで遊んでいる。
食事のときになるとお兄ちゃんはテーブルを片付け拭いて準備する。散らかさずきれいに食べて、終わったら自分で皿を下げる。
僕は写真を撮りながら感心してしまう。
前日が雨だったせいか、今日は空気が澄んで青空がきれいに見える。
次男くんを幼稚園に送っ行ったあと、ママは卒園したばかりの長男くんと末っ子の妹ちゃんを連れて公園へ行く。
ひとしき遊んで家に帰ったら、まずは子どもたちを風呂で洗ってパパが作った昼ごはんを食べて片付けて洗濯してその合間に子どもの遊に付き合ってそろそろ気がつけば夜ごはんを作る時間だから今夜はカレーにしようか。
休む間がない。
家の中も片付かないはずである。
夕方がいちばんしんどい。
子どもたちも遊び疲れてきて、お兄ちゃんと弟くんの喧嘩が始まる。一歳の女の子がとばっちりを受けて泣き出す。ママは夜ごはんの支度をしなきゃいけない。
そんな状況でもママはできるだけテレビに頼らないようにしているらしい。
「とある日」だからと、朝からずっと傍観者であった僕は、ここに至って初めて子どもと遊ぶ。
ママの「ごはんできたよー準備してー」という声がどんなに待ち遠しいことか。
夜ごはんのカレーライスを食べながら、来月から小学生になるお兄ちゃんは僕に問う。「なんでうちにきたの?」
なんでだろうねえ。これは仕事ではないし。
彼は続けて問う。「おにいさんは子どもとあそぶのがしごと?しゃしんとるのがしごと?」
その両方だよ。君は賢いな。
千葉県我孫子市。雨上がりの青空が清々しい。今日は「とある日」の撮影。一日がとても長く感じられる。