名古屋市交通局幹名駅1徳川町 14:52
「やっと馴れた」大人たちが二歳の女の子に言うのは、機材を片付けて帰るころ。
小さな子どもは撮影が終わったとたんにご機嫌になるもので、カメラを向ければニコニコしてくれるという大人の思惑はいつも外れる。
家族にとっては2回目のお宮参り。
赤ちゃんだけだった前回とは違って、二歳のお姉ちゃんが笑うかどうかが気になってしまう。おそらく今回のほうがずっとたいへんだったろう。
赤ちゃんはというとほとんどぐずらず、寝てしまうこともなく。
惜しむらくは家に祝い着を忘れてきてしまったとのことで、ベビー服のまま抱っこ。こちらは家に帰ってから写真を撮ってください。
名古屋のソメイヨシノは開花したばかりで寂しいが、神社の境内には満開の河津桜が美しく広がる。
お姉ちゃんのときは梅雨の雨降り。紫陽花の花がいたるところに咲いていたっけ。
パパとママには落ち着かないお宮参りだったかもしれないが、今日も花のお祝いに恵まれた。
お宮参りからお食い初めの撮影終わって、名鉄と地下鉄で名駅に出ようかと思ったが、すぐに東京に戻るのがもったいなくて散歩する。
森下駅の周辺は昔ながらの住宅街らしい。これといった特徴はないのだが、年月を経てすり減って馴染んだ革のような風情がある。
家に帰るのか、杖をついたおばあさんとひ孫らしい小さな女の子が手を繋いでぽつりぽつりと歩いていた。
二人の後ろ姿を僕だけが見ている。