山陽本線尾道駅 17:13
朝から降り続く雨は久しぶりだ。これも季節が変わったということだろう。
夕方になってようやく霧雨のようになったので、傘をささずに自転車で黒猫運輸のサテライトまで荷物を持って行く。
商店街は閑散としていて、かれこれ2年こんな状態が続いているのだが、大丈夫なのだろうかと心配になる。
今日から11日間の旅になる。
毎回何かしら忘れて来るのであるが、今回は大丈夫なようだ。財布もスマホも持っている。珍しい。
持って行くものは毎回決まっているから迷うことは少ないが、とにかく荷物が多い。
何年か前の夏、岡山で大阪から来たフォトグラファーの出田さんと寺川さんとでお酒を飲んだことがあった。
僕を含めて三人とも旅が好きだし、そのときもみな仕事で出張中だったと思う。
ひたすら暑い岡山駅前で、カメラバッグ二つとと旅行バッグを肩に提げた僕のいでたちを見た出田さんが、「荷物多いっスね」とドン引きしたような苦笑を見せたのが忘れられない。かくいう彼はナップサックひとつくらいしか持っていなかったような気がする。
そういえば、フォトグラファーの片桐さんの個展を見に行った時もカメラバッグ二つ提げていって、彼に「(荷物)多すぎますね」と言われたことがあったっけ。
旅慣れている人は荷物が少ない。
それはわかる。わかるのだが、僕はまったく荷物が減らない。それどころか増えてゆく傾向にある。なぜだろうか。
仕事でなければ、もっと身軽でいいだろう。カメラやレンズの予備、バッテリーの予備も着替えの予備もいらない。
結局「なんかあったら……」と考えてしまうから、バックアップが増えてゆく。荷物が重くなる。
これはもはや「旅」とはいえないのではなかろうか。日本を転々と移動する僕の「生活」。