山交バスC13系統美畑町 16:42
東京から山形に来ると空気がずいぶん涼しい。
東京のあの蒸し暑さは息苦しくさえあったので、雨上がりの湿っぽさはあっても高原にいるかのような涼しさだ。
撮影はまずまず順調に終わった。
児童発達支援教室のパンフレットに使う写真を撮る。先方が必要なカットを先に決めていてくれたので撮るには助かる。
撮った写真をその場で確認してもらい、SDカードにデータを入れて渡せば仕事は終わり。
在来線と途中で新幹線を使っても東京に戻るのは夜10時を過ぎる。夜ごはんの惣菜を山形で買おう。
地図でスーパーを探すと、山形駅の西側に地域密着型の地元スーパーがあるらしい。歩いて10分ほどなら行って帰って30分後の米沢行きに間に合うだろう。
「ショッピングセンター吉田」はもともと精肉店だったのだろうか。肉類の惣菜がとてもおいしそうで山形牛を使った牛丼なんかも置いてある。
悩みつつ急いで選んで店を出て、駅に戻る途中の交差点にさしかかったとき、横断歩道の反対側から歩いてきた若い女性のバッグから何かが落ちたようだ。
遠目には何かビニール袋のゴミのように見えた。彼女はそれに気づく様子がない。信号が変わって彼女はそのまま横断歩道を渡り、僕とすれ違う。
そこで、なにか落としましたよ、と彼女に声をかければよかったのだ。
しかし僕は声をかけそびれてそのまま横断歩道を渡り、そのゴミらしきもののところまで来たとき、それが折りたたみの日傘であることに気づく。
それを拾い上げて、3秒くらいどうしようか逡巡して、僕はカメラバッグを歩道に置くと、それをそのままにしてとっくにすれ違った彼女を走って追いかける。
それをそのまま放置していてもよかったのだ。落としたのは彼女だし、僕はなにも悪くない。
しかし一度気づいてしまうと、無視してその場を離れるのは後髪を引かれるような思いがする。
彼女はけっこう早足だった。200メートルほど走ったろうか、彼女の背後から、すみませんと2回繰り返すと彼女は振り向く。あのこれあなたのと違いますか。
「あ、そうです」日傘を彼女に手渡したら、すぐに背を向けて放置しているカメラバッグのところまで、また横断歩道を走って渡る。二つの黒いバッグはさいわいそのままぽつんと僕の戻り待っていた。
東北本線上野駅 8:14
山形市まで。東京は蒸し暑い。
南千住から上野に出てくるまでの常磐線のラッシュがしんどい。都会の人はよく毎日こんなのに乗ってるな。
東北本線久喜〜東鷲宮 9:05 空いた下り電車の解放感。
山形県山形市美畑町 16:37 本日の撮影終わり。児童発達支援教室のパンフレット用撮影。希望カットを先生と子どもが遊ぶような感じで撮ってゆく。先生たちは仕事でやってるからさすがに遊ぶのが上手い。やはり自分がディレクションしたほうがいいな。
東北新幹線福島駅 19:48 小山まで「やまびこ」自由席。空いているのはわかっているから乗客のみなさん座席を占有して自由に振る舞っている。通路の反対側に座ったおじさんは500mlの缶ビール2本をテーブルに出して一人宴会を始める。