東京都墨田区吾妻橋 20:57

 
 


ホテルの部屋で仕事してたら、外から電動ドリルのような音が間近に聞こえる。
 
窓の外を見たら5メートルほど先で高所作業車の黄色いバスケットに乗って、街路打のカバーを開けて作業している人がいる。ホテルの部屋は3階である。
 
僕から彼の顔がはっきり見えるのだから、彼も僕が見えるだろう。あの男は昼間にホテルで机に向かって何をしているのかと不思議に思ったかもしれぬ。
 
 
 
高所作業車で働く人を下から見上げることはあろうが、同じ目線で見る機会はあまりない。
 
せっかくだから働いているところの写真を撮って彼にプレゼントしようと思ったけど、怪しまれるだけだと思いとどまった。
 
5分ほどで彼は作業を終えてバスケットは下に消えた。たぶん通りの街路灯を何十本と点検して回るのだろうから、忙しいのである。仕事の邪魔をしなくてよかった。
 


一日中画像処理をして、夜ごはんを買いに出かける。
 
ホテルの近くに角打ちをやっている酒屋がある。覗いてみるとスーツ姿のサラリーマンが何人か立ち飲みしている。
 
安酒場なのだから当たり前で、気持ちはそそられるだが、飲み始めると一杯では済まないから座ってゆっくり飲みたい、と思うのは歳を取った証拠なのだろうか。

ホテルに帰ればウィスキーがある。熱いお湯割りにレモン果汁を入れて飲めば温まる。風邪もひかない。