尾道 15:44
どうにもこうにも寒い日の撮影というのが、必ず年に二、三回はある。
今日はまさしくその一日だったのだが、幸いにも新郎新婦は羽織袴と白無垢の着物姿だったので、忍耐力の限界は感じずにすんだのではなかろうか。
なにより二十代の若い二人にとっては、寒さよりも慣れない着物でポーズをとるほうがたいへんだったかもしれぬ。
海に突き出した堤防に立って、二人が持参した風船を持たせてみたら、ひとつが風に吹き飛ばされて海に落ちる。
「あああ……」拾うこともできず、強い西風に押されて尾道大橋のほうへ流れていく風船は前撮りの思い出になるのかどうか。
一緒に来ていた新婦の家族は、今日しか見られない娘の白無垢姿をカメラとビデオでずっと撮っている。
きっと彼女が子どものときから彼女の両親はそうしてきたのだろうな。
結婚しても、娘はいつまでも親にとっての大事な娘なのだ。
式は来月であるらしい。いよいよである。佳き日になりますように。
帰って夜ごはんを作ろうとして、冷蔵庫の野菜室に冷凍豚こま肉がすっかり溶けて入っているのを見つけたときは、思わず声が出た。
昨日昼ごはんのスパゲティで使ったときに、冷凍庫に戻さずなんで野菜室に入れたのか。
そんなに量が残ってなかったのが幸いであった。
予定になかった肉野菜炒めで使い切ったからよかったけど、ミチコさんから「ボケたんじゃないの?」と冷たく言われる今夜もことさら寒い。
尾道 13:52 底冷えする日の結婚式前撮り。着物だからドレスより寒さの耐性はあるけど、それでも新郎新婦はかなり寒かったと思う。よくがんばりました。結婚式は一ヶ月後とのことだからもうすぐだ。風邪を引かぬように。