尾道 16:09
みいちゃん(猫)は目が見えず耳が聴こえない。
野良猫だったのを拾ってきたから年齢不詳なのだが、おそらく16歳か17歳くらいであろう。
目が見えなくなったのは昨夏以降のことである。
さぞかし不自由だと思うのであるが、本人(猫)は落ち込む様子もなく淡々と日々過ごしている。
トイレも餌の置き場所も手探りというか、おそるおそる歩いては椅子の脚や壁にこつんこつんとぶつかり、そのたびに方向転換しつつ、結局その場所まで歩いてゆく。
その様子を見守っていると、軽い畏敬の念すら湧いてくる。
目的を達すると自分の居場所が完全にわからなくなってしまうようで、そうなるとみいちゃんを抱き抱えて寝床に戻す。
なかば介護のような世話が必要なのだが、面倒という気持ちにならないのは自分でも不思議だ。猫好きでもないのに。
なんの因果かわからぬが、家では猫に囲まれて生活しています。
今日は三連休の最終日で、広島から来た家族がスタジオに来て写真を撮る。
小学三年生と幼稚園年長さんの二人兄妹。
「行き当たりばったりに歩いてたら(スタジオの)看板があったので」と母親が言う。(看板には『本日限定写真データ3枚1000円』というPOPをつけている)
子どもが行き当たりばったりって何?と聞く。
あてなく歩くのは無駄のように見えて無駄ではない。
偶然というのはより深い印象を与えてくれるものだ。
僕の人生もそういう感じでいいんじゃないか。
みいちゃんは見えてないけど目が合う。でも見えてない。
尾道 16:12 スタジオに飛び込みのお客さんひと家族。偶然通りかかって写真を撮って喜んでいただけた。データ3枚1000円のところ10枚お買い上げ。スタジオが車で来店できる立地だったらお客さんも増えるだろうけど、このくらいでいいのかも。