東武鉄道野田線増尾駅 12:22
みんな汗をかいている。
青い蝶々が水の上を飛んでいるかのような涼しげな着物を着たママもやっぱり額に汗を浮かべている。
東京の最高気温は36℃。お宮参りするにはたいへんな暑さである。
一ヶ月の赤ちゃんだけは我関せずとぐっすり寝ている。不思議なものだ。
赤ちゃんだけだとまだのんびりお参りできるが、三歳のお兄ちゃんがいるとそちらも目を離せない。
ふだんの生活もママのワンオペだとたいへんだろうなと思う。
はるばる宮崎からママのご両親が上京してきてお参りを手伝ってくれるのは助かることだろう。
杉木立に囲まれた神社は暑すぎるせいか蝉の鳴き声もほとんど聞こえない。訪れる人も少ない。
家族の声が緑の中に吸い込まれてゆく。
幸せな時間である。
もしかしたら今日のお参りも日々の慌ただしい生活に紛れて薄い記憶になってしまうのかもしれない。
写真を見返すこともそんなにないと思う。
しかし撮っていれば残る。残っていればいつかの未来に今日を見られる。
写真とはそういうものだ。
無事にお参りをすませて写真も撮って「タクシー来たよ」とパパが知らせにきたので、お兄ちゃんに手を振ってお別れすると、境内は静けさに包まれる。
家族が健やかに暮らせますように願わずにはいられない。
僕もちょっとだけお参りして帰るとするか。
千葉県柏市増尾 12:03 一ヶ月赤ちゃんのお宮参り。参拝の間は泣かずにぐっすり寝てくれた。三歳のお兄ちゃんは祈祷で怖くなったのかママに抱っこをせがむので代わりに遊んで紛らわす。子どもが楽しいくないと記念写真は撮れない。それにしても暑すぎる。駅までの道を歩く人は皆無である。