尾道へ。
強風で湖西線の一部列車は運休しているらしい。ここ数日の暖気が消えて、急に冷え込んできた。
西行きの新快速ではいつも先頭車に乗る。昼間なら運転席越しに前方が見える。仕事をしながらちらちらと見ることがあるが、今日はスーツ姿の初老の男がガラスに張り付いている。ときどき背伸びをするようにして運転士の動きを観察している。明石を過ぎて車内に空席が目立ってきても、運転席の後ろから離れる気配がない。結局終点姫路までの1時間、彼は一度も後ろを振り返ることなくじっと前方を見つめ続けていた。僕もそれなりに電車好きだが、何が彼にそうさせるのか。彼には見えて僕には見えていない世界がきっとあるのだろう。