三原由宇出張写真室

2020年4月1日水曜日

山陽本線広島駅 10:10






 

 
白く明るい桜の木の下で、花びらから滴り落ちる雨を若い二人の傘が受け止める。
 
傘の色と二人の上着の色がリンクしていて、あたかも抽象画のように見える。満開の桜に囲まれた二人のほかには誰もいない。
 
昨日に撮影を延期しようかと迷うメールが来たが、入籍する日の写真はその日にしか撮れないですよと返したら、雨の中、傘をさしてやってきた。
 
たとえ今日の写真が雨の景色でも、それは単なるデータではなく、二人にとって別の意味を持つだろう。
 

 
妻となるロシア人の彼女は日本留学中に彼と知り合った。流暢な日本語を話す。
 
おおかたモスクワだろうと思って出身地を尋ねたら「シベリアです」と答える。「イルクーツクの、近くの町なんですけど」
 
気になってイルクーツクからの距離を尋ねてみた。300km。東京から豊橋まで、大阪から広島までの距離である。
 
それ「近い」ちゃうやん、突っ込むと、彼女は「日本の感覚とはちょっと違いますね」と笑って言った。
 
「バイカル湖、きれいなので見に来てください」と彼女は琵琶湖に誘うように気軽に言う。
  
はたしてこの先の人生で、僕はバイカル湖を見ることがあるのかどうか。楽しみがひとつ増えた。 

 


撮影終えて広島駅へ歩く途中もずっと雨が降り続いている。
 
イルクーツクにはまだ雪が残ってるんだろうか。