山陽本線倉敷駅 13:28
倉敷屈指の観光名所、美観地区はコロナウイルスの影響で観光客はほぼ皆無である。
いつもなら背後に写り込むはずの観光客がまったくいないのは幸いであった。
いまはまだ19歳の彼女は軽やかに柳並木の下を歩く。
岡山市の南、瀬戸内海沿いの町に住んでいる彼女はどうしても倉敷で写真を撮りたかったらしい。友人たちとここに遊びに来て、スイーツを食べたという話をしてくれる。女の子だなあ。
大倉美術館の前から阿智神社へ上り、アイビースクエアと歩いて約1時間。
慣れないはずの着物姿なのに疲れも見せないのは、大学でやっているというフィギュアスケートのおかげだろうか。体幹がしっかりしているから立ち姿も美しい。
それでも体育会系には見えなかったので、高校のときに何をしていたのか聞くと「地理歴史部(という感じの名称だった)」だそうで、女子校にそういうマニアックな部活があるとは思いもよらず。
なんでも海のゴミを集めて研究していたそうである。おもしろそうだね、とは言ったけど、正直どんな反応をすればよかったのかよくわからぬ。
反抗期もとくになかったという彼女は、ニコニコとよく笑う。
久しぶりに「気立てのいい」という言葉を思い出させてくれるようなお嬢さんであった。
まだ二十歳ではないけれど、成人おめでとう。素敵な大人になってください。
歩いている途中でいがらしゆみこのお店の前を通りかかり、家族は自然と『キャンディ・キャンディ』の話題になったが、彼女の父上が主題歌をほぼ完璧に歌っていたのにびっくりした。
アニメ放映当時、僕はまだ小学生になる前でしたからうろ覚えだったんです。