一件目の撮影終了。五歳女の子の家族写真。
小さな公園に一本だけある紅葉の木。ビルの谷間で日が当たりにくいせいか、きれいな葉が残っていた。
彼女は気を遣ってくれる子なので、カメラを向けるとちょっと笑ってピースサインをしてくれる。でもカメラを向けると常にそうするので、自然な表情を撮るのがかえって難しい。
フォトグラファーのカメラの存在を気にしない子もいれば、ずっと気にする子もいる。子どもは皆それぞれで、ハウツーなぞあっても、きっと役に立たぬであろう。子どもひとり一人と向き合った写真を撮りたいものだ。