石北本線北見駅 11:27
北見峠をゆっくり歩くように越えた列車は、上川盆地へ向かって一気に走り出す。空が明るくなってきた。
平地が広がってきたところで上川駅に到着する。ここで40分停車。
発車時刻は午後4時6分である。町内に高校があるので、下校時刻に合わせたダイヤになっているのだろう。到着してしばらくすると、学生たちが改札を抜けて現れる。
駅前は時間が止まったかのような静けさで、東の空には白い入道雲が浮かぶ。
地図を見ると、歩いて5分ほどのところにスーパーがあったので行ってみる。
元は体育館だったかのようなカマボコ型の建物に、町の人たちが買物に来ていた。
レジのパートさんもお客さんもだいたい顔見知りのようで、会計しながら世間話をしている。
その空間に完全アウェーな僕が紛れ込んでいるわけで、旅の非日常感は小さなスーパーで味わうことができる。
精肉コーナーには、ジンギスカン用の肉のパックが5尺の冷蔵ケース2台に並べられていて、ラム肉にはこんなに需要があるのかと思う。
お盆の時期に合わせて帰省した家族や親族とバーベキューをするのだろう。
しかし昨年今年とコロナで自粛ムードだから、売れ行きは芳しくないのかもしれない。
列車に戻ると、車内は高校生たちの半自宅と化していた。
ボックスシートに寝そべってお菓子を食べつつスマホを眺めたり鏡をのぞきこんだり。
どう見てもお行儀がいいとはいえないが(男子より女子のほうがひどかった)、ふだんの列車には彼らしか乗っていないのだから、そうなるのも当然か。
卒業して札幌や東京へ出て行ったとき、この列車通学の日々を懐かしく思い出すこともあるだろうか。
ああ、彼らの生態を写真に撮りたかったなあ!
約30分停車。駅前を散歩してみる。