福島交通図景二丁目 16:03
結婚式の写真を撮る。
新郎は福島県飯館村で中学校の先生をしている。披露宴の余興に、受け持ちの生徒たちがわざわざ式場にやってきた。お祝いの言葉のあとで彼らは整列して「With You Smile」を合唱する。指揮者の子が一生懸命に腕を振っている。
余興でこういうことをされては困る。本当にいけない。ファインダーが曇って仕事にならない。
結びの挨拶で、新郎の父上は今日が広島原爆の日であることに触れ、新郎が子どもの頃に広島へ旅行し、原爆資料館を見学したあとに「はだしのゲン」を読み始めたことなどを話した。そして息子が飯館村で教鞭を取っていることに言い及ぶと声を詰まらせた。
その場にいた列席者はそれをわかっているし、思うことはさまざまであろう。だからこそ二人の結婚をお祝いしたいという気持ちを感じる結婚式であった。
合唱には途中から新郎も参加したが、歌っているのか泣いているのかわからなかった。あれでは二学期が始まったときに生徒らと顔を合わせにくくなるのではなかろうか。いらぬ心配である。