宮崎県高千穂町三田井 12:03



  
 
 
 
七五三の写真を撮る。
二歳の女の子は怖がってあまり一緒に遊んでくれなかったが、なんとか笑顔が撮れてよかった。
ママからは事前に撮影時間中の祈祷の時刻や、女の子の性格などを記したメールをいただいていたが、その通りであることは稀である。実際、神社に着くなりすぐに拝殿に案内されて祈祷となったし、子どもの機嫌はその日そのときまでわからない。
  
ママは高千穂の出身で、娘を連れてはるばる北海道から帰省中とのこと。ご実家の庭先にある八朔の実を娘に触らせながら、今の季節は「外では遊べません」と言う。冬の間、家の中でずっと子どもと一緒に過ごすのは辛いだろう。
  
撮影終えて、おばあちゃんが作ったというお赤飯をありがたくいただく。駅まで送ってくださるというのをいつものようにお断りしてぶらぶらと歩く。今日は春のように暖かい。途中に大きな橋があって、見下ろせば314メートル下にごつごつした岩の間を流れる青い水が見える。高所恐怖症ではないがすっと股間が寒くなる。落ちたら間違いなくあの世行きだ。視線を上げれば、今しがた写真を撮っていた集落はなだらかな山の上にあって、たっぷり陽射しを浴びている。