呉線忠海駅 17:30
週末だからか、ふだんは人の気配がないはずの浜にも家族連れや若者たちがいて、海に浸かったりしている。
やや重苦しい雲が広がっているが、雨は降らない。
今日入籍したばかりという二人は、海に向かって伸びる防波堤を歩いてゆく。映画のワンシーンのようである。
彼女は札幌、彼は東京でそれぞれ生まれて育ち、そこから遠く離れた広島の瀬戸内海に面した小さな町で出会って結婚するいうのも不思議なものです。
人それぞれに見知らぬ誰かとの縁があらかじめ用意されているのだろうか。
海の上に浮かぶステージのような防波堤で、二人は向かい合う。「フルムーン夫婦グリーンパス」のポスターみたいだ。上原 謙と高峰三枝子みたいな、といっても二人は知らないだろうけど。
30年後くらいにまた二人でここを訪れて、今日と同じように海を見るのもいいだろうな。
余計なお世話だが、そんなことを考えながら撮っている。
写真は単なる記号ではなく、文章だから。