山陽本線明石駅 17:39
明石と淡路島の岩屋を結ぶ船から見る海の景色は、想像以上に雄大で美しい。
見上げる明石海峡大橋の大きさが空をより広く見せている。いいお天気でよかった。
11歳の少女と山陽電車で明石まで来て、船で淡路島北端の町、岩屋に渡る。船は明石港を出て15分ほどで海峡を渡る。
港町である岩屋は尾道に似て細い路地や階段のある町だ。そういう場所にはお決まりのように猫があちこちにいる。
彼女が近づいても逃げなかった猫は、僕が指を差し出すと飛んで逃げる。猫に好かれるオーラが僕にはないらしい。
岩屋からさらにバスに乗って海べりの小さな集落へ向かった。
彼女は打ち寄せる波に飛び上がって驚きながらも、コンクリートの波打ち際を走り回る。
右に左にちょこまか動くリスみたいだ。中学生になったら陸上部に入ろうかと言うくらいだからすばしっこい。手のひらの上でじっとしているような子ではないのだろう。
将来の夢を聞いたら、アイドルになりたいと屈託なく答える。人懐こい笑顔はきっと誰からも好かれる。アイドルじゃなくてもアナウンサーとか司会者とか、人前に立つ仕事が向いていそうだなあと思う。
これからもっと彼女の世界は広がってゆくだろう。きらきらした目で海を眺める彼女には未来が詰まっている。
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