東海道本線焼津駅 13:39
コートを駅のコインロッカーに押し込んでから、撮影場所であるお家に向かう。
歩道の脇の空き地に河津桜が一本あって、ピンク色の花が開いている。立春になってから一気に春めいてきた。
昨日二歳の誕生日を迎えた三人姉弟の末っ子くんは、やんちゃ坊主になりそうな予感。これまでおとなしい印象があったのだけど、男子がたどる道ってだいたい同じなんだな。
毎年撮っているから、みんなの成長ぶりが嬉しい。彼らにとっての世界が広がっているのを感じる。
小学一年生のお姉ちゃんは、僕がアホなふざけ方をするとひと言「キモい」と正直な感想を述べる。ああ、女子はこうして大人になってゆくのか。相手にされなくなるのももはや時間の問題であるなあ。
子どもが子どもでいる期間は、気がついたら終わっているのだろう。だからこそ写真を撮りたい。
おもしろがってくれるうちは葉っぱ食べたり、木の枝を鼻の穴に入れたりして遊びますよ。
お家での撮影のあと、朝比奈川沿いに河津桜が咲いている場所に連れて行っていただいた。
例年よりも開花が遅れているそうだが、気の早い花見の人がそぞろ歩いている。
もっとも子どもたちは桜の花なぞには興味を示さない。遊びながら桜のほうに誘導していくのだが、うまくいったようなそうでもないような。それほど大きな桜ではなかったので、写真は撮りやすかった。
満開になったらきれいだろうな。そのぶん見物人も多くなるだろうけど……
撮影終わってバスで駅まで戻ろうと思っていたが、朝比奈川の土手に立つと、ずっと下流のほうに桜並木があるのが見えた。ソメイヨシノらしく、まだ裸の枝ばかりが広がっている。
ロケハンも兼ねて歩いてみたら、バス停に戻るよりそのまま駅まで歩いてしまう。あとで地図で見たら3kmくらいだったので、そんなに大した距離でもなかった。
初めての土地を歩くと、いろんな発見があって楽しい。
駅裏の寂れた小さな商店街でさえも、人々のささやかな毎日の営みが感じられて感心しながら歩く。車に乗ってしまうと、それらがぜんぶ通り過ぎ去ってしまうので、ちょっともったいない。