赤穂線播州赤穂駅 13:27
今にも降り出しそうな空の下、参道に赤穂浪士の石像が立ち並んでいる。
忠義に殉じた武士を祀る神社は、男の子の七五三参りの場所としてふさわしい、かもしれない。
しかし五歳の彼は、慣れない場所に怖がって、ママの手を握って離さない。子どもの性格によるので気にせず撮る。
神社の隣に広い公園があってよかった。遊んでいるうちに不安な気持ちがなくなったようで、笑い始める。
ママはふだん仕事だから、あまり一緒に遊ぶ時間がないのかもしれない。
はじめ遠慮がちにしていたママは久しぶりに子どもを抱っこして持ち上げ、緑の葉に触らせる。
ママは男子の遊びにはあまりついていけないだろうし、彼が成長するとあまり甘えなくなるだろうし。ほんのわずかでも母子が触れ合った時間の写真は、きっと貴重品になる。
七五三おめでとう。
駅に戻る途中で赤穂の街を歩く。駅から赤穂城に至る通りは電柱がない。市が観光地として整備したのだろうけど、観光客を目当てにしたらしき店はほとんど潰れてしまっている。
ハード(建物)にお金を突っ込んでも、ソフト(文化)にお金をかけて育てないと、観光は成り立たない。
目に見えるものだけ立派にすれば、なんとなく仕事した気になるのは、しかたのないことであるけれども。