知多乗合常滑南部線古場 17:40
雨上がりの公園の滑り台を、七歳の男の子は勢いよく滑りきって、派手に尻餅をつく。そして「もう一回!」と言って、駆け出す。
それを見てパパとママが笑う。彼は入学式で着るような半ズボンのスーツ姿である。いわゆる「一張羅」がすでに水と泥に汚れている。弟くんはそのお下がりがもう着られないかもと言い、また笑う。
きっと今日だけの特別扱いだろうけど、彼にとってはタガが外れたようなもので、とても楽しいだろう。
そんなお兄ちゃんの様子を三歳の弟くんが憧れの眼差しで見ている。
男の子の場合、七五三は五歳だけという家族も多いけれど、生まれたばかりですぐに入院した赤ちゃんが、ちょっと成長が遅いなりにも三歳を迎えられたというのは、ことのほか嬉しいものがあろう。
お兄ちゃんはそれをわかっているのか、弟くんにはとても優しい。写真を撮りながら、二人はいい兄弟だなあと思う。
七五三おめでとう。
撮影の間、雨には降られなかった。
駅まで送ってくださるというのを、いつものようにお断りして、また常滑行きのバス停まで歩く。
ちょうど日没時刻の頃。雲の隙間から陽射しが届いた。古びた家に朱色の夕陽が当たる。それがことのほか美しい。もはやわびさびの境地である。
バス停のすぐそばに古い木造の建物があり、初めは醤油工場かと思ったら、酒蔵であった。
入口に「お気軽にお入りください」という張り紙を認めて、思い切って重たい引き戸を開けて入ったら、土間のような空間に、その蔵のお酒や酢の瓶が並んでいる。
心の中では「うひょー!」という叫び声が上がっている。
蔵の事務員さんらしき女性がお酒の説明をしてくれた。
迷わず看板商品の純米酒「白老」を買った。今は飲めないけど、秋の撮影が落ち着いた頃にいただきます。楽しみだなあ。
お邪魔した酒蔵はこちら。
澤田酒造
この日の撮影写真。