神戸電鉄粟生線三木上の丸駅 13:42

  
 

 
朝、尾道を出るときに曇っていた空は、三木に着いて美嚢川にかかる橋を渡る頃には、真っ青な秋晴れになっていた。なんだか出来過ぎのような気がする。
 
  
神社にやってきた家族を初めて撮影したのは5年前のこと。そのときママのお腹にいて顔もわからぬ子が今日は袴姿で歩いている。甘えん坊なのに周りを気にせず我が道をゆく彼は、見るからに典型的な末っ子気質である。
 
一方で彼のお姉ちゃんとお兄ちゃんは13歳と9歳。もう僕とかくれんぼや鬼ごっこで遊んでくれるわけがない。 
 
年が離れているから、三人の子どもの写真を撮るのが難しい。五歳児を笑わせても、13歳は白けた表情を浮かべるだけ。13歳に通じるジョークに五歳児はきょとんとするばかり。
 
それでも三人姉弟は仲がいい。きっと家の中では、三人が自然とそれぞれの役割を分担しているのだろう。

 

祈祷を終えて写真を撮れば、家族は車で帰ってゆく。おじいちゃんおばあちゃんも来ていたから、どこかへ食事に行くのかもしれない。子どもにとってはがんばったご褒美。
 
七五三の彼が大人になったときに、今日のことを覚えていることはないだろうけど、人生に欠けていい日は一日もない。それを知るための写真かもしれない。