尾道 16:55

 
 

 
気温が30℃を超えると外に出たくなくなる。
 
家の中に閉じこもって発送作業をして、夕方ポストに持ってゆく。そのついでに写真をプリントしようと「キタムラ」に寄った。

尾道のキタムラはカメラやレンズも置いてある広い店なのだが、平日の夕方はいつ行ってもがらんとして人がいない。 
 
店内には「スタジオマリオ」が併設されていて、ちょうどひと組の家族が写真を撮っているところだった。
 
甲高い声で子どもの気を引くスタッフの背中越しにスタジオを見てみると、幼稚園の年長と年少くらいの兄弟が両親の隣に立ち、椅子に座った親の膝の上には、2歳くらいの女の子とまだ6ヶ月くらいの赤ちゃんがいる。4人兄妹か。
 

 
下の子ども二人は、振り鳴らされる鈴の音につられて、なんだかわからぬ表情でカメラを見ている。
 
上の兄弟がやっぱり難しい。じっとしていられないのが男子というもの。
 
「はい、お兄ちゃんななめになってるねー!まっすぐキリっ!」

「鼻ほじるの、やーめーてー!」
 
カメラ担当のスタッフは、子どもの気を引くアイテムを繰り出しながら何度もシャッターを切る。だが、その雰囲気に耐えられなくなった女の子が泣き出し、いったん休憩となったところで、僕はプリントを受け取って店を出た。
 
データを納品する出張撮影とは違ってスタジオはたいへんだ。撮影したあとにプリント注文をもらえないと売上が立たぬ。スタッフさんも必死になるわけである。
     
でも、僕だったら違う撮り方をするだろうな。それがうまくいくかどうかはわからないけれど、子どもはきっと楽しんでくれる。