遠州鉄道41高台線泉町中 19:36
雨上がりの日曜日はアニメの背景画のような夏の青空。
道を歩くときは日陰を探して歩くが、まだまとわりつくような暑さではない。
僕はいつも新郎新婦を名前で呼ぶようにしているのだが、撮影を依頼するカップルは、僕を単に「カメラマン」として認識していて、三原由宇という名前を覚えていない方も多い。
今日は、チャペルで二人のポーズ写真を撮ろうとすると、新婦が不安げな表情でアテンドさんを呼んだ。アテンドさんは僕と新婦を交互に見て何か言う。すると彼女は「なあんだ」という安堵の笑みで僕を見た。
すぐには訳がわからなかったのだが、彼女は僕が「(彼女が依頼した)持込みカメラマン」ではなく、式場専属のカメラマンだと信じ込んでいたのだった。その理由が「アテンドさんと親しそうにしゃべっていたから」
約束の時刻を過ぎて支度が終わっても一向に「持込みカメラマン」が現れないので心配になったらしい。
もちろん、支度部屋で顔を合わせたときに、お祝いの言葉ともに名乗っているのだが、名前を覚えてくれてないと意味がないのだなあ。
式場カメラマンと間違われたのは初めてで、結婚式は思いもよらぬことが起きるものです。
新郎は披露宴結びの挨拶のためにカンペを用意していた。
人前でスピーチする機会もないだろう。緊張するし、安心したい気持ちはわかる。
僕は彼に紙を見ずにしゃべってくださいとお願いする。式場のカメラマンは新郎新婦にそんなことは言わない。
その理由はこちら「新郎挨拶」に書いてあります。
紙に目を落とさずに話すのは格好いいし、何より気持ちが聴衆に伝わるものである。
昨今の結婚式にしては珍しく11卓並んだ披露宴は盛り上がった。
新婦の手紙、記念品贈呈、新郎父の挨拶とつつがなく進み、司会に促された新郎は意を決した表情で一歩進んでマイクの前に立つ。
彼は感謝の言葉とこれからの決意とをまっすぐ前を見て話す。カンペなぞはじめから存在しなかったように。
息子の晴れ姿を背中から見ている父上の眼差しがいい。撮っていて嬉しくなるのはこういうときである。
ゲストの力のこもった拍手とともに披露宴は開いた。結婚おめでとう。
浜松駅南口のすぐ近く。再開発から取り残されたアーケード街。そのうちなくなっちゃうんだろうなあ。
大阪市高速電気軌道御堂筋線動物園前駅 22:28
地上に出ようとすると、エスカレーターの上のほうからけたたましい落下音とともに女性の叫び声。おそるおそる覗いたら、鼻血を出した女性が「よっぱらっちゃったあ」と呂律の回らない声を発しながら、連れの男性に引きずられるようにして運ばれていた。