中国バス三原広島空港線三原駅前 18:07
朝から降り続く雨に濡れて草花がつやつやしている。
古い木造の長屋は湿気で気持ちがいいとはいえないが、これもまた梅雨らしいと思えば……。
発送作業をしてから東京へ。
三原駅から空港行きのバスに乗る。
バスが国道2号線を離れて、空港取り付け道路を登り始めると、あたりは白い雲に覆われてゆく。これはもしかしたら欠航するかも、という不安が頭をよぎる。
山の上を切り開いて作られた広島空港は深い霧の中にあった。
搭乗口にはちょうど東京から来た下り便が到着するところであった。といっても、ターミナルビルからは機体の影も形もまったく見えなない。
赤く光る棒を両手に持ったグランドスタッフが大きく腕を振り上げると、うっすらと白いガスの中からB737が現れた。レーダーによる誘導があるとはいえ、よく降りられたものだ。
2015年には今日のような悪天候の日に、アシアナ航空が着陸に失敗する事故が起きている。
東京行きの最終便は、止まない雨の中をゆっくりと滑走路に向かう。
雨粒ににじむ窓の向こうでは、トーイングカーの前で3人のグランドスタッフが直立して右手を振っている。この飛行機を見送ったら、今日の仕事は終わりだろう。彼らは濡れた作業着をハンガーに掛けて家路につくのだろうか。
僕がカメラのモニタを白く光らせて左右に振ると、一人が気がついたらしく、両手を振ってくれた。