尾道 16:33
ほんまに猫というのは厄介千万な生き物で、気の向いたときだけ媚を売ってすり寄ってくるくせに、カメラを向けたらにっこり笑うでもなく顔を背けて逃げ出す。
皿の前でじっとしているから、餌を入れると一瞥してどこかへ行ってしまう。まことに可愛げがない。
なぜ猫というだけでこんなにもてはやされるのかわけがわからない。
朝、掃除機をかけているときに階段の窓を開けて、閉め忘れていた。
気がついて閉めて、猫を数える。うちには8匹いるのだが、あれ?1匹いない。
一番臆病な性格の猫がいない。
ビビリな猫だからミチコさんが「ビビ」と名付けた猫が家の中のどこにもいない。さては窓から外に出たのか。
宿題を忘れた小学生が先生に申し出るようにミチコさんに報告。
それで今日が終わった。
何度も外に探しに出かけてゆく。
僕もしおしおとその後を追う。
夜ごはんを作る気にもなれずに夕方、洗濯物を取り込んで畳んでいたら、ミチコさんがビビを抱えて入ってきた。
家の中にいたという。どこに隠れて寝ていたのか。朝から夕方までまったく姿を見せないとは。
窓を開けていたのが悪いと、超絶不機嫌なミチコさんから怒られまくって散々な一日であった。
猫にはもうこりごりである。生まれ変わったら猫がいない星で暮らしたい。
夕方姿を現したビビ。ストーブの後ろに隠れて、逃げた。