鹿児島本線博多駅 14:09
いつの間にか船は錦江湾を滑るように進んでいる。
右舷に桜島が見え始めるとデッキに人が出てきて写真を撮る。僕も撮る。
鹿児島と那覇を結ぶマルエーフェリーは貨客船。
貨物が主であって客サービスが充実してるとはいえないけれど、船旅はいいものです。
かつては東京から2泊3日で那覇まで船で行けたのだが、その航路は今は貨物のみになっている。
下船して鹿児島中央駅まで行くためには連絡バスに乗る。
夏休みとあってフェリーは旅客が多かった。
ターミナルビルを出てバス乗場にたどり着くと、危惧した通りバスにはすでに乗客でほぼ満員のうえに、まだ並んでいる人もいる。
乗客整理をしていたバス会社のおじさんが営業所かけあったようだが、増便なし。
「ドア閉めますよー」還暦過ぎた運転士さんがマイクで言う。ちょっと待ってくれ。
中央駅前のバスターミナルから予約している高速バスに乗り換えないといけない。歩くと30分はかかるだろう。なんとか体をねじ込む。
港から駅までは10分ほどだが、通路に押し込まれた家族連れの子どもたちが不憫であった。
おそらく増便のバスを出したくても運転士がいないのであろう。
バスの運転士は高齢化の一途だ。
鹿児島中央駅から乗った福岡行き高速バスの運転士さんも還暦オーバーに見えたし。
どこのバス会社も運転士の採用は急務であるが前途多難だ。
要因はいろいろあろうが、拘束時間が長いわりに賃金が見合ってないのが最大の理由と思う。
歴とした資格が必要な仕事であるのに、見合った待遇がなぜ得られないのかわからない。
それはバスの運転士に限らず、数多の職種に言えることだが。
その点フリーランスのフォトグラファーというのは気楽な稼業だなと思う。
資格も何もいらない。カメラさえあればいい。
クライアントが満足するならiPhoneひとつで仕事したっていい。
実際はそういうわけにもいかないけれど、資格もなにもいらないのだから仕事を始めるハードルは低い。
なんらかの資格を得て働いてる人たちに比して、いつも申し訳ないと思うのである。
マルエーフェリー鹿児島航路名瀬〜鹿児島 7:59 昨夜はほとんど揺れずに至極快適な航海だった。