徳島バス引田線明神(あけのかみ) 17:59
都会に暮らす子どもたちが夏休みで田舎の家にやってきたら、なにかしら小さな冒険があったりドラマがあったりしそうだが、実際は古い家の座敷で頭を寄せ合って、ゲームの小さな画面から顔を上げようとしない。
外に遊びに行くよ。「じゃあかくれんぼするんで、見つけたら写真撮っていいですよ」八歳の男の子は言う。
大きくなると知恵がつくものである。
近所にある小さな神社の境内に行く。
じっとしてると彼らがどんどん不機嫌になってゆくので、がんばって遊ぶのだが彼らのやる気のないことこの上ない。
すきあらば勝手に帰ろうとするので、今日は撮影のために来てるから外で遊ばないといけない旨を説明する。
仕事なのか。しょーがねえなあ。
あきらめの表情でしゃがみ込む彼らのテンションを上げるのは砂漠に水を撒くようなものである。
汗だくになって走り回って写真を撮ってそろそろ帰るかと言うと、撮影から解放された彼らはさっさと家に向かって歩き出すから僕はその背中を追う。
そういうものだ。
子どもの写真は撮れるうちに撮っておくほうがよい。
時間は戻らない。やがて見えなくなる景色。
そういえば40年前、小学生だった僕の夏休みは、祖母の家でファミコンの『グラディウス』をずーっとやってた。あれは面白かった。
山陽本線尾道駅 8:35 徳島県鳴門市まで。
高徳線高松駅 11:21 徳島行きに乗り換え。2両編成のうち1両は回送扱いで乗れるのは1両のみ。JR四国ではよくある運用である。おかげでそこそこに混んでいる。2両で乗せてくれたっていいのにと恨めしく思う。
駅の外に出てみる。駅前の本屋さんが廃業していて残念。
鳴門線鳴門駅 14:41 みどりの券売機プラスで佐世保までの乗車券と特急券を買おうと四苦八苦していたおじさんに女性の駅員さんが手伝おうとするもわからず「オペレーターに聞いてください」。後で僕が自分でやってみたところ、「みどり」の特急券を発券できない仕様だった。使えない券売機。
徳島県鳴門市瀬戸町明神下本城 17:18 夏休みで親戚の家に遊びに来た家族の撮影。子どもたちは小学生でゲームの画面から顔を上げようとしない。なんとか外に連れ出すも遊ぶ気なし「もう帰っていい?」。ママから君たちの写真を撮ってほしいと言われてるんだよ、という説明は理解してくれる。
この地域は古い家が並ぶ細い道に隣接して広く区画された埋立地がある。通りかかったおばあさんに聞いたら「ここな、ずっとえんでん(塩田)やったの」細い道は讃岐へ抜ける街道で昔はバスが通っていたという。塩田の「え」に強いアクセントがあった。