千歳線千歳駅 6:29
雪が降りしきる朝である。
札幌に向かう通勤通学の人に混じって電車に乗る。札幌の手前、白石で函館本線に乗り換えて滝川へ。根室本線で富良野まで下り、不通が続く区間をバスで新得へ。再び列車に乗り、十勝平野と太平洋を眺めつつ釧路まで。11時間半の旅である。
北海道の鉄道路線は衰退の一途である。
JR北海道の経営状態が厳しいのは衆知の通りで、昨日乗った根室本線も富良野〜新得間は水害で不通が続いたまま復旧させる様子も見えない。
さらに今月16日のダイヤ改正で普通列車は本数が減らされることになっている。したがって、北海道で希少な普通列車に乗るのは贅沢なことなのである。
釧路行きの列車は特急との行き違いのために尺別駅に停まる。
午後4時半を過ぎて、空ははかなげな茜色。冷たい空気の向こうに夕日が沈もうとしている。舗装されていないホームは雪解けでぬかるんでいるが、乗客は外に出て写真を撮る。
かつて近くに炭鉱があった尺別の街は廃墟になっており、駅前には崩れかけた人家がわずかに残る。今日から2週間後に駅は廃止され、乗客がこのホームに降り立つことはもうできない。