三原由宇出張写真室

2020年7月26日日曜日

筑肥線筑前前原駅 18:37





 
 
 
帰りの船が島を出る前から完全な土砂降りになっていた。
 
見渡す限り雨で煙ってグレイ一色。その中を船は白い波を立てて進む。
 
小さな船の後部には甲板があり、そこで母娘は楽しそうにスマホで写真を撮っている。来てよかったなと思う。
 
 
 
「青旅」の撮影。 
 
福岡県の糸島半島の西側に姫島という小さな島がある。今回の旅の目的地はそこにした。
  
最寄駅から渡船の船着場まではバスで30分かかる。ときどき雨が降るどんよりな天気だったのに、港に着くと陽が射してきた。
  
 

一人で電車に乗ったことすらない13歳の少女は、今日生まれて初めて船に乗ったらしい。
 
船着場までのバスの中ではうつらうつら眠そうな様子だったのに、船が港を出て青い海の上を走り始めると目を輝かせて後ろに流れ去る白い波を見つめている。
 
 
これが旅をするっていうことだよ。修学旅行とはまったく違う。
 
そんな野暮なことは言わないけど、かわりに彼女の横顔を撮る。
  
いつか彼女がそれに気がついて、自分の世界が広がってくれたらいいなあ。 
 
君が大人になるまでには、まだたっぷり時間があるから。
 
 
 
撮影中は晴れ間もあったが、ぽつりぽつり降り出した雨は瞬く間に豪雨となる。駅で三人分の傘を買っといてよかったけど、それでもかなり濡れた。