大阪環状線福島駅 18:11
夕暮れ間近の商店街で、ランドセルを背負った双子の兄妹は手をつなぐ。
二人が一歳のとき、同じ場所で撮った写真を思い出す。たしか向かって左が女の子、右が男の子だったはず。
いつの間にか6年が過ぎた。あっと言う間だ。
これまでずっと一緒だった二人はたぶん小学校で別々のクラスになるだろうし、それぞれに友達ができて別々に遊ぶことだろう。
今年の春は、大きくなってゆく二人のひとときの共通の時間であるかもしれない。
都会の公園にはたくさんの人たちが集まって花見をしたり遊んだり。
その手前にある道が短い桜並木になっている。
そこで写真を撮っていたら、不意に強い風が吹いて吹雪のように白い花びらが舞う。
ずいぶん長く風が吹いた。
二人は歓声を上げて花びらに向かって手を伸ばす。
風がお祝いしてくれてるみたいと言ったのは男の子である。
そんな素敵なことを言うようになったんだねえ。
君たちの写真を撮っていてよかった。