尾道 17:12
庭の紫陽花の葉の上に小さなカマキリの子どもがじっと乗っているのが見えた。
見るからにはかなげな存在である。
よしんばこの子が無事に大きくなったとしても、この夏きりの命である。その姿を再び見ることはないだろう。
梅雨前線は沖縄あたりに居座って、北上してくる様子がない。
梅雨入り前の爽やかな空気も今のうちだけだ。
ミチコさんは外飼いの猫を家の洗面台で洗う。「気持ちいいでしょう」などと言っているが、猫にとっては迷惑極まりないようでシャーシャー唸っている。
体の半分くらい洗ったところで諦めてドライヤーで乾かす。
そもそも猫をシャンプーしたいというのは2週間前くらいから聞いていた話で、今日ようやく実現したわけで、ずいぶんのんびりしたものである。
そういえば、テフロン加工の剥げた鍋を買い替えたいと1週間前くらいからミチコさんが言っているな。
近所のホームセンターに行けばええじゃろと僕は言うのだが、はたしていつ買ってくるのだろうか。
僕は買い換えなくもいいと思うんだけど。
