赤穂線日生駅 15:51
日生(ひなせ)の海には牡蠣の養殖筏が所狭しと浮いている。
島にかかる橋の上から見渡せる瀬戸内海は穏やかで、ここで生まれ育った二十歳の彼女にとっては故郷の景色だ。
今は高知で大学生。卒業したら日生に帰ってくるかと尋ねたら、「いやー……」と言葉を濁す。
大阪あたりで働きたいのだろう。若者にとって都会の魅力は捨てがたいものだ。
彼女が選んだ着物は鮮やかな赤である。
これがまた季節によく似合っている。新緑の中でひときわ映える。
思えば2年前、彼女のお姉さんもパキッとした感じの着物を着ていたな。姉妹で好みが似ているのだろうか。
まだ将来のことなぞまったく決まっていないというのは、可能性の塊だ。
青春時代は短い。ぞんぶんに楽しんで大人になればいい。
岡山県備前市日生町寒河 13:36 本日の撮影無事終わり。成人式の前撮り。 彼女のお姉さんを撮ったのが2年前。ついこの間のことのように思える。妹さんだから賑やかなキャラクターを想像していたのだが、いたって物静かなお嬢さんだった。
備前市日生町日生あたり。 1時間ほど街歩き。山と海に挟まれた狭い市街地ながら商店がひしめいている。ほぼ閉店してしまっているが。 おそらく昭和40年代くらいまでは栄えていたと思われる。今はやたらとお好み焼きの店が多い。「カキオコ」と称しているのは牡蠣を乗せたお好み焼きのことだろう。