尾道 18:11




  
昨夜のごはんが炊飯器に残っている。
 
昼にミチコさんが食べるのかと思ったら、なぜか10枚切りの食パンを買ってきていて卵サンドイッチにするという。
 
卵サンドを食べたくなったからそうしてるんだろうけどまるで計画性がない。
 
「(ごはん)食べていいよ」と言うものだから、僕が残ったごはんを炒飯にするしかない。ラーメンか蕎麦にしようと思ってたんだが。
 


今年買ったばかりの鉄製中華鍋を引っ張り出す。

テフロン加工のフライパンのほうがごはんがくっつきにくくて料理するにはラクなのだが、中華鍋を強火で威勢よく振って炒めるのは、男のロマンというか、単純にかっこいい。



学生時代を過ごした静岡で、初めてのアルバイトは「新静岡センター」の最上階にあるファミレスだった。
 
若い人にはイメージしづらいだろうが、ファミレスというより昭和時代からあるデパートの「食券食堂」である。
 
和洋中の料理にパフェやあんみつまであって、それぞれにコックを雇っていた。
 
中華の担当は、ぎょろりとした目の西郷隆盛みたいなおっさんで、咥えタバコで「チャーハンめしもらうぞ!」と厨房の中央にある炊飯器から大きなボウルに炊き上がった白米を入れ、それを中華鍋に落としてはお玉の音を響かせながら作るのであった。
  
今はもうその店も新静岡センターも建て替わってなくなってしまったが、厨房で鍋を振る彼の姿をいまだに覚えているので、よほど印象に残ったのだろう。
 
昔気質の職人といった風情であった。
 


こないだは炒めてるとき米が鍋に焦げつきそうになったので、油を多めに入れて鍋を振る。
 
ミチコさんは油っぽいのを嫌がるが、大量の油と塩は男の料理の基本である。
 
多少ごはんが飛び出ても気にせず振り回していたら、前回よりぱらりと上手くできた。
 









今夜のおさんどん。 チキンソテー サラダ