尾道 17:12
昨夜は電車の中で飲んで帰ったのに、それほど酔っ払うことなく朝はすっきり起きられた。
そもそも飲まなきゃいいのだけど、電車に揺られながら飲むってよくないですか。
何年か前に終電で酔って寝てしまって寝過ごして帰れなくなったときもあったけど、やめられない。背徳的な愉しみがある。
仕事をしていたら、サングラスをかけた男がぬっと庭先に現れる。
猫が玄関に置かれた靴におしっこをかけるので、スタジオで写真を撮りたい人は玄関からではなく、庭から直接部屋に上がってもらっている。
「写真撮りたいんですけど」彼の後ろには彼女らしい女性がいる。どうぞどうぞ。
家にいるときは気まぐれにスタジオの看板を表の路地に出して、3カット千円で写真を撮っている。
二人は付き合い始めて三ヶ月だという。手をつなぐのもなんだか初々しくっていい。
飛び込みのお客さんだから名前も何も知らないのだけど、仲良く長続きしてほしいものである。彼らに限らずどの人にもそう思う。
僕ができるのは写真を撮ることだけだ、
春が二軒先の角まで来た。